Mさん
今日はミクロックでした。
自分の出演も音響もうまくいって車に乗り込み、
今日は寝れる…と安堵していると携帯に4件の不在着信。
06からはじまる番号なのでスタジオかなんかかなとかけ直すと
しばしの沈黙。何度ももしもし?と言ってると女の子の声
「あっ、すいません、スタジオでメンバー募集の紙を見たんですけど」
去年ふーや君が抜けたときに描いたコロコロボンボンズのメン募を見たらしい。
申し訳ないけども今はもうギタリストが見つかって募集はしていない、と伝える。
が どうも話を進めるうちに 僕の使う言葉の意味など 予期せぬところで躓いたり
質問に対して素っ頓狂な答えを連発してたので ん〜〜?おかしいぞ、と思い
意を決して「おいくつですか?」と訊いてみました。
「14歳です」
「!?楽器をはじめて何年ですか?」
「8か月と22日です」
「えらい詳細に覚えてるんですねえ」
驚きました。中学生でした。
中学生の頃の自分に鑑みるに、スタジオのチラシに書いてた電話番号にかけて
はじめて8か月のギターでコロコロボンボンズに入ろうとするその度胸、
面白いと同時に尊敬の念すら抱きはじめて
「いまはメンバーがいるのでギタリストとして迎えることはできない」
「でも、おせっかいかもしれないけど僕は君を応援したいと思い始めてる」
と伝えていつの間にかミクロックの駐車場で彼女の相談を受ける時間がはじまる。
「今日、スピッツのチェリーを弾き語ってお母さんに聴かせたんですけど全然ちゃんとしてないなって言われてしまいました」
「勉強が本当に苦手で、今でもついていけてないので高校に進みたくないと思ってる。ギタリストを目指してやっていこうと思ってるんだけど家族にはまだ言えてない」
等々の相談に対してバンドマン、ライブハウスの人間、高校の非常勤としてあらゆる角度からアドバイスを送る。
「勉強が苦手なので高校に入ってもついていけないと思ってるようだけど。高校と言ってもピンからキリで、「勉強しろ勉強しろ」ってのだけが高校じゃないし、自分のレベルにあった高校に行けばいいんですよ。」
「ピン…?から?」
きたぜ!スゲ〜馬鹿だ!
(ガンプラ作って絵を描くだけのデブだった14歳の自分の事は棚にあげて)
とにかくあまりにも色々なものを知らなすぎるけど
その度胸と行動力は本当に尊敬する。気付けば僕はその子に興味が沸いていた。
楽器やってる友達はいる?どんな風になりたい?部活はしてるの?
気付けば25分も話してしまっていました。
「ついつい長いこと話してしまってました。長電話してると家族に怒られません?」
「今はお母さんいないんです」
おったら怒られるんかい!
こないだ福井県でイベントに出たときに、僕らが出た回のいっこまえに、
ライブハウスに初めてくる男の子がきて、初めてが故に気合の入れ方がわからなくて
RAMONESのTシャツに皮ジャンを羽織ってライブハウスに現れて
受付で訊かれる「今日はどのバンドを目当てに来られましたか?」という質問に
「そんなモン、ねえから!」
と凄んだ後、わけもわからず「オーナー呼んでくれる!?」と言った16歳が居たらしいが、そういう無知が故の一周まわって正解、みたいな感覚ほんとうに大事にしてあげたいんだよね。
14歳16歳なんていつ何に関心が移るかなんてわからないけど、たとえ ずっと音楽が好き、とはならなかったとしてもそういう子たちに何かできればなぁと心から思う。
彼女からまた電話がかかってくることがあれば、僕のライブに招待したいと思う。