心がざらついたときに聴く音楽

かなり何度も書いてるんだけど僕はシロップ16gというバンドが好きだ。強烈にはまった時期がある訳じゃないけど、一番長く好きでいるバンドだと思う。

有名なバンドとは言えないけど、ミスチルの桜井もカバーしたことがある、知る人ぞ知るバンド。

時には非常に繊細なメロディで、時には非常にがさつなアレンジだったりする。

歌詞はわけのわからないのもたまにあるけど、基本的に前向き。。前向きになりたがってる。まっすぐ前向いてるときもたまにあるけど、だいたいなりたくてもなれないけど前向きたいなあ的なニュアンス。たまにそのまま後ろ向き。

そう、彼らはいや彼。ボーカルの五十嵐隆は情緒不安定である。その不安定ぷりをそのまま曲にするから、ヒリヒリするし、美しいし、優しい。そしてもろく壊れやすい。

自分も基本的に情緒不安定なので、だから共感できるし、励まされるし、救われる。

そんな彼らは2008年に一度解散している。ラストのアルバムがまた笑うしかないというか、解散することに対する言い訳と心情に終始していて、(でも美しくて)らしいなっていうアルバムだった。

その6年後に復活したとき、CD屋さんに行くと、特設コーナーがあったのだろうけど、そこだけごっそりなくなっていた。店員さんに聞いて、取り寄せようとしたら、店員のお兄さんが、僕予約していたんで譲りますよって言ってくれた。いや悪いですよ。お兄さんも待ってたんですよね?って返すと、ぼくは他から手にはいるから、先に聞いてください。シロップっていいですよね?と譲ってくれた。シロップのファンはシロップのファンに基本優しいのだ。

バンドが復活する前に渋谷で一度、ソロライブを開いている。ソロライブとは言え、バックにつくのはやっぱりバンドのメンバー。

もうみんなわかってる。帰ってきたいんでしょ?って本人だけがソロライブと言う。

当日のライブ会場周辺が異常に混雑していて、理由がわからない一般の方がファンに聞いた一言が、全てを表していて。

何でこんなに混んでるのですか?→日本で一番愛されてるひきこもりが帰ってくるんでみんな駆けつけたんです。と返したと言う。ほんと的確なファンの心理だと思う。

五十嵐さんは引きこもって、世界と断絶してたけど、また帰ってきたいと思い6年間かけて戻ってきた。そしてファンは帰ってくるのをずっと待っていた。

僕らには帰る場所がある。待ってくれてる人がいる。人生うまくいかないことばかりで、嫌になることの方が多いけど、キラキラ輝くあの人たちみたいになれないけど、害虫みたいなぼくらだって生きたいんだ。それなりになんとなく。この残酷な世界はほんの少しだけでも確実に優しいみたいだ。明日僕がいなくなっても何もかわらないし、誰も気づかない。そう言ってなんとか毎日、辻褄合わせて下手なりに生きてくんだ。だから明日もがんばろうとか思ってみたりする。へたりなりに。